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【税務】中小企業投資促進税制で賢く節税! 

設備投資を行ったときに利用できる税制について、なんとなく聞いたことはあるけれど、あいまいになっていませんか?今回は改めて、利用できる税制についてお伝えさせていただきます。

目次

1.制度改正の背景

欧州諸国の設備投資が2021年度に持ち直しの動きを見せる中で、日本は2期連続のマイナスを記録しており、特に中小企業において伸び悩みをみせています。企業の投資マインドが急速に冷え込んでいる中、将来に向けた投資を後押しできなければ国際競争から取り残される恐れがあります。

そこで、 国は生産性を高めるような中小企業者等の設備取得を支援する観点から、設備投資を行った場合の税制優遇措置を見直しました。

2.設備投資を行う場合の税制上の優遇措置

会社経理上も税務上も、設備については減価償却という考え方で処理する必要があるため、設備について支払ったお金の一部ずつしか経費になりません。

これに対し、設備投資を行う場合の中小企業への優遇措置を使うことで、設備投資の費用の全額を経費にしたり(特別償却や即時償却)、設備投資額の何割かの税負担を安くしたり(税額控除)することが可能となります。

中小企業者等が設備投資を行う場合の税制上の優遇措置には、主に次の2つがあります。

  • 中小企業経営強化税制
  • 中小企業投資促進税制

非常に名前が似ており違いが分かりづらいですが、端的にお伝えさせていただきます。

1)中小企業経営強化税制

節税効果は高いですが、経営力向上計画を策定し、該当事業分野の主務大臣に提出・認定を得ることや、設備によって工業会からの証明書を取り寄せるか、経済産業省から確認書を取得する必要あります。またこの税制の適用を受ける場合、原則として設備の取得前に計画の認定を受けることが必要です。

前段でお伝えしたように、認定を得ることが大事な制度ですが、実際に計画から認定までのかかる期間として、標準処理時間は約30日です(計画に記載された事業分野が複数の省庁の所管にまたがる場合は約45日。また不動産取得税の軽減措置又は許認可承認の特例を利用される場合は、上記の日数に加えて、関係行政機関における評価・判断に日数が必要となります)。

また、申請に不備がある場合は、各事業所管大臣からの照会や申請の差し戻しが発生し、手続き時間が長期化する場合がありますので、余裕をもった申請の段取りが必須となります。

その他にも条件もございますが今回は割愛させていただきます。ご検討の際は弊社にご相談いただければ幸いです。

2)中小企業投資促進税制

節税効果は上記に劣りますが、経営力向上計画の認定は必要ありませんので、利用しやすい税制です。今回はこちらの内容を紹介させていただきます。

2.中小企業投資促進税制とは

概要

本制度は、中小企業者等が機械装置等導入の際に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人については税額控除の適用なし)を選択適用できる制度です。

適用期限

適用期限:令和6年度末まで
※令和5年度の税制改正にて延長されました。

税額控除の上限

税額控除限度額は、基準取得価額の7パーセント相当額です。
(資本金3,000万円超1億円以下の法人については税額控除の適用なし)

なお、税額控除の控除上限は、この制度における税額控除、「特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」(旧措法42の12の3)における税額控除および「中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」(措法42の12の4)における税額控除の合計でその事業年度の調整前法人税額の20パーセント相当額を上限とされています。

上限を超える超過額

税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20パーセント相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額について1年間の繰越しが認められます。

対象者

青色申告書を提出する資本金または出資金が1億円以下の法人で一定の要件を満たすもの、または常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主等が対象です。

対象業種

中小企業投資促進税制が適用される業種
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業および沿海運輸業、内航船舶賃貸業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業およびサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業

対象設備

次の表の設備で、指定事業の用に供するものが対象です。

出典:中小企業庁「中小企業税制パンフレット 令和4年度版」P21

手続き

確定申告書に必要事項を記載し、申告することで適用できます。

令和5年度税制改正内容

コインランドリー業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する機械装置でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものは対象外となります。
総トン数500トン以上の内航船舶については、船舶の環境への負荷の状況等に係る国土交通省への届け出が必要です。

3.よくある質問

中古資産やリース資産も対象ですか?

中小企業投資促進税制は、中古品の購入には適用できません。対象は新品のみです。リース資産の場合は、ファイナンス・リース取引のうち、所有権移転リース取引により賃借人が取得したものとされる資産は対象です。ただし、所有権移転外リース取引によって賃借人が取得したものとされる資産は、税額控除のみの対象となります。 また、貸付を主たる目的とする設備は対象外です。自社の業務で使用する資産が対象となります。

稼働は購入年以降を想定している場合、税制を活用して、設備・ソフトウェアを先に購入しておくことはできますか?

中小企業投資促進税制は、該当事業年度中に稼働開始することが条件となっています。そのため、購入年度に稼働させない設備・ソフトウェアは対象外です。逆に、事業年度中に支払いが完了していなくても、稼働さえ開始していれば適用できます。

パソコンは対象ですか?

対象外です。平成29年度税制改正で電子計算機・デジタル複合機・試験・測定機器が除外されました。

中小企業投資促進税制の対象となるソフトウェアとは、具体的にどういうものですか?

対象となるソフトウェアは、次のようなものをいいます。
業務用に使用されるワープロソフト・表計算ソフト・経理ソフト・給与ソフトの他にも、イラストソフト・画像ソフト・CADソフトが該当します。これらのソフトウェアは、減価償却資産として貸借対照表に計上される必要があり、30万円未満を即時償却できる少額減価償却資産の特例などを利用している場合は、重複適用ができません。また、ソフトウェア販売会社が市販するために開発したソフトの原本や、会社が研究開発用のために購入したソフトウェア、サーバー用OSのうち一定のものは適用されません。

参考:中小企業庁「中小企業投資促進税制」中小企業庁:中小企業投資促進税制 (meti.go.jp)

4.まとめ

①中小企業が設備投資をする場合の主な税制優遇措置には、

(1)中小企業経営強化税制
(2)中小企業投資促進税制

の2つがあります。

②中小企業経営強化税制は、中小企業者等が認定を受けた経営力向上計画に基づき 一定の設備を新規取得した場合に、即時償却または10%(資本金3,000万円超1億円以下の場合7%)の税額控除ができる制度です。

③中小企業投資促進税制は、中小企業者等が機械設備等の導入時に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除ができる制度です。
 また、中小企業経営強化税制では対象となっていない車両運搬具にも利用することができます。

中小企業経営強化税制は節税効果が高く金銭的な負担は軽くなりますが、税務申告以外の手続きに多くの時間がとられるため、時間的な負担は大きくなります。
一方、中小企業投資促進税制は節税効果の面でやや劣るものの、確定申告書に記載をするだけで良いため時間的な負担は小さく済みます。

1つの設備投資に対してどちらの税制も適用可能な場合、両税制の節税効果の差額と、中小企業経営強化税制の手続きに費やされる作業時間を天秤にかけて選ぶことになります。

どちらの税制を利用する方が良いかわからない方や、上記以外で適用可能な税制優遇についてご相談等ございましたらお気軽に北島会計グループの北島管理計算センターへ お問い合わせくださいませ。

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