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雇用保険料率が引上げ決定。年度更新と給与計算での注意点

令和4年2月1日に雇用保険法その他の関連法令の改正が閣議決定し、令和4年度からの雇用保険料率の引上げが正式に決定いたしました。

一般の事業の雇用保険料率は令和3年度までは9/1000でしたが、令和4年4月より9.5/1000に引き上げられ、更に令和4年10月より13.5/1000に引き上げられるという、異例の二段階形式での引き上げが実施されます。

今回の雇用保険料率の引上げにより、労働保険の年度更新や給与計算にも影響が及びます。
この記事では会社の事務担当者向けに、雇用保険料率引上げに伴う年度更新や給与計算時の注意点をまとめていきます。

目次

雇用保険とは

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雇用保険とは、労働者が「失業した場合」、「雇用の継続が困難となる事由が生じた場合」、「職業に関する教育訓練を受けた場合」などに必要な給付が行われる制度です。
具体的には、失業して求職活動中に支給される「失業等給付」、育児休業期間中に支給される「育児休業給付金」、教育訓練を受けた際に支給される「教育訓練給付金」などがあります。

失業してしまったり、育児休業等により長期に働けなくなってしまった場合などに国からの生活保障を受けられることは労働者にとっては安心ですよね。

そしてこれらの雇用保険給付の財源は、事業所と被保険者が納める保険料と国費から成り立っています。

雇用保険の適用事業に該当する事業所は、毎月の給与計算で雇用保険被保険者に該当する従業員の給与から雇用保険料を天引きし、事業所負担分と被保険者負担分を合わせた保険料を毎年納める義務があります。

雇用保険の適用事業所とは、「労働者を1人以上雇用する事業所」です。
雇用保険の被保険者となる労働者の要件はざっくり言うと、「適用事業所に継続して31日以上雇用されることが見込まれ、かつ週所定労働時間が20時間以上」の場合です。アルバイトやパートの方も要件に当てはれば被保険者になりますが、高校生や大学生などの昼間学生のアルバイトは被保険者にはなりません。
また、学生アルバイトなどの雇用保険の被保険者に該当しない労働者しか雇用していない事業所は、雇用保険の適用事業所としては取り扱わないことになっています。

年度更新とは

労働保険の適用事業所は毎年6月1日~7月10日までの間に前年度の確定保険料と本年度の概算保険料を計算し、労働保険料を納めなければなりません。これを労働保険の年度更新といいます。
なお、「労働保険」とは労災保険と雇用保険を総称した言い方です。
確定保険料と概算保険料は以下の算出方法によって求めます。

確定保険料

確定保険料の額は、前年度にその事業で実際に使用した全ての労働者(※1)に支払った賃金総額に、その事業に適用される一般保険料率を乗じた額です。
(※1)労災保険の場合は全ての労働者、雇用保険の場合は雇用保険被保険者の労働者

① 確定保険料=前年度の賃金総額×一般保険料率

「一般保険料率」とは「労災保険料率」と「雇用保険料率」を合わせたものです。
上記①の式で算出された額と前年度に納めた概算保険料の額を比較し、前年納めた概算保険料の額よりも上記①の式で算出された確定保険料の金額の方が多かった場合、その差額が本年納めるべき確定保険料となります。

本年納める確定保険料=前年納めた概算保険料-①で計算した確定保険料

概算保険料

概算保険料の額は、本年度にその事業に使用する全ての労働者に支払う賃金総額の見込額に、その事業に適用される一般保険料率を乗じた額です。
しかし特例として、本年度の賃金総額見込額が前年度の賃金総額の100分の50以上100分の200以下であるときは、前年度の賃金総額を本年度の賃金総額の見込額とします
ほとんどの場合はこの特例に該当します。

② 概算保険料=前年度の賃金総額×一般保険料率 (特例の場合)


以上が確定保険料と概算保険料の求め方です。
そこで①と②の式を見比べてみると・・・

①確定保険料=前年度の賃金総額×一般保険料率
②概算保険料=前年度の賃金総額×一般保険料率 (特例の場合)

このように確定保険料と概算保険料は同じ式になり、同じ額となるのが普通です。
(実際に納める確定保険料は前年の概算保険料との差額分ですが)

しかし令和4年度は雇用保険料率が引き上げられますので、一般保険料率が確定保険料と概算保険料で異なります。
また、雇用保険料率は令和4年4月と10月の2段階で改定されるので、令和4年4月~9月までの雇用保険料率は9.5/1000令和4年10月~翌3月までの雇用保険料率は13.5/1000と半期に分けて計算する必要があり、概算保険料の計算が煩雑になることが予想されます。

令和4年の年度更新の計算方法

令和4年の年度更新の計算方法については現段階ではまだ発表されていません。
現段階では、令和4年の労働保険の納付方法として以下3通りの方法が予想されます。

①令和4年の年度更新時に新しい保険料率で概算保険料を計算して納める。
②令和4年の年度更新時には旧保険料率で概算保険料を計算し、年度途中で概算保険料の「追加徴収」が行われる。
③令和4年の年度更新時には旧保険料率で概算保険料を計算し、令和5年の年度更新で新しい保険料率で計算した確定保険料を精算する。

①の場合、令和4年4月~9月と令和4年10月~翌3月で雇用保険料率が2段階で変わるので、以下の例のように概算保険料を半期ごとに分けて計算することになります

【例:賃金総額見込額が2000万円の小売業の場合】

2000万円÷2=1000万円 ←半期分の賃金総額見込額
1000万円×(3/1000+9.5/1000)=125,000円(A) ←令和4年度前期の概算保険料
1000万円×(3/1000+13.5/1000)=165,000円(B) ←令和4年度後期の概算保険料
(A)125,000円+(B)165,000円=290,000円 ←令和4度の概算保険料
(※3/1000は小売業の労災保険料率)

以上の例は労災保険と雇用保険の対象の労働者の数が同じ場合の計算式です。
雇用保険料率改定に伴う令和4年の労働保険料の納付方法について、どのような形式になるか、事務担当者は今後注目する必要があります。

令和4年10月からの給与計算の変更点

次に、給与計算で従業員から天引きする雇用保険料の計算についてです。
令和4年度の雇用保険料率は4月と10月の2段階で引き上げられますが、従業員負担分が引き上げられるのは10月からです。(4月の引き上げは会社負担分のみ)

~令和4年3月令和4年4月~9月令和4年10月~
事業主負担分6/10006.5/10008.5/1000
従業員負担分3/10003/10005/1000
合計9/10009.5/100013.5/1000

上の表のように、一般の事業の雇用保険料率の従業員負担分は、令和4年9月までは3/1000で、令和4年10月からは5/1000に引き上げられます。
具体例を用いてみていきましょう。

【例】
Aさん 月給30万円
令和4年9月までの毎月引かれる雇用保険料
30万円×3/1000=900円
令和4年10月からの毎月引かれる雇用保険料
30万円×5/1000=1,500円

900円と1,500円で金額の差が600円生じることが分かるかと思います。年間で計算するとAさんの手取りは7,200円少なくなります。

給与計算ソフトを使用している場合は、9月の給与計算が終わったタイミングで雇用保険料率の設定を3/1000から5/1000に忘れずに変更しておく必要があります
また、雇用保険は支払日ではなく締め日をベース に考えますので、10月の給与とは「10月に締めた給与」のことをさします。

中小企業は労働保険事務組合の委託がオススメ

ここまで年度更新のやり方などをみてきましたが、中小企業の事業主は労働保険に関する事務は労働保険事務組合に委託することができます。労働保険事務組合は事業主の委託を受けて、年度更新による労働保険料の計算と申告・納付を行うほか、資格取得及び喪失の届出などを事業主に代わって行います。
労働保険事務組合に委託できる中小事業主の範囲は法人・個人を問わず以下の表の通りです。

金融・保険・不動産・小売業常時使用する労働者が50人以下
卸売の事業・サービス業常時使用する労働者が100人以下
その他の事業常時使用する労働者が300人以下

また、労働保険事務組合に委託すると事業主にとっては以下のメリットがあります。

メリット1:概算保険料の額にかかわらす、延納することができる

概算保険料を3期に分けて納付することを「延納」といいます。通常は概算保険料が40万円以上の場合でなければ延納はできませんが、労働保険事務組合に委託している場合は、概算保険料が40万円未満でも延納をすることができます。

例えば概算保険料が39万円だった場合、通常は延納することは出来ず、7月10日までに確定保険料と合わせて39万円の概算保険料を一括で支払わなければなりません。しかしこの事業所が労働保険事務組合に委託していた場合は、概算保険料を3期に分けて延納することができますので
390,000円÷3=130,000円
13万円ずつを年3回に分割して納めることができます。

メリット2:委託事業主は労災保険へ特別加入することができる

事業主は労働者ではないので通常は労災保険の対象外ですが、「特別加入」することで労災保険の給付を受けることが出来ます。中小事業主が労災保険に特別加入するには、労働保険事務組合に委託していることが条件になります。
(労災保険についてはここでは割愛いたします)

まとめ

令和4年度の雇用保険料率の引き上げにより、年度更新時の概算保険料の計算がイレギュラーになることが予想されるほか、10月からは従業員の給与から天引きしている雇用保険料も引上げる必要があります。
そして中小企業の事業主は労働保険事務組合に委託することがオススメです。
北島管理計算センター は同グループに労働保険事務組合がございます。雇用保険や労災保険のことでご相談がありましたらお気軽に当センターまでお問い合わせくださいませ。

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